2015.01.05
妊娠、出産は女性にとっては精神的にも肉体的にも一大イベントです。
われわれ脳神経外科の施設には妊娠中は分娩時などに脳出血を起こして搬送されてくる事も珍しくありません。
今年の脳神経外科学会でも脳血管障害を発症した妊産婦の診療体制が問題になっている事から、全国の施設での調査が発表されていました。
それによると、脳内出血の例で発症時期は妊娠継続期が61.9%、分娩時が13.4%、産褥期が24.7%であった。
妊娠継続期での脳内出血の患者さんでは32週以前の症例では90%に、32週以降の例で53.3%に血管病変が見つかり、32週以前の妊婦の方の脳内出血では基礎疾患を有する可能性が非常に高いと報告されていました。
現在の保険医療では症状のない方の検査は適応外であり、妊娠前にすべての女性のスクリーニング検査を行う事は医療経済学的、倫理的にも困難なのが現状です。
しかし、頭痛があったり、血圧が高い、高脂血症を指摘された既往がある方などは、保険適応外の脳ドックなどでも積極的に検査を受けられる事が重要だと思われました。
片頭痛の方は妊娠されると女性ホルモンの変動が緩やかとなり頭痛の頻度はかなり減ってきます。
しかし、妊娠、出産は女性の体にとってとてもストレスなイベントです。
頭痛をお持ちの女性の方は1度脳血管を含めた精密検査をお勧めいたします。